ある日、息子たちともう使わなくなったおもちゃを整理していた。
息子(12)がその昔大好きだったポケモンガオーレで集めたカードが山ほど出てきた。息子(12)がこれに夢中になったので、当時はまだ赤ちゃんだった息子(9)を抱っこ紐で抱えて、あちこちのゲームセンターに行ったことを思い出した。懐かしい。懐かしいがもう今のゲーム機(ポケモンフレンダ)では使用できない。
それらのカードを前に「売るつもりはないけど、メルカリでどれくらいの値段がついてるか確認していい?」と言うので、わたしの携帯を渡し、おもちゃは2人に任せることにして、わたしは息子たちの思い出ゾーンに足を踏み入れることにした。
そこは、主に息子たちが幼稚園や小学校で作って持って帰ってきた作品がまとめられた押入れのことで、簡単に捨てるわけにもいかないが、また見返すかと言われればそんなこともない。それでもサッサと捨てることも出来ないので、わたし的には一番気が重い場所でもある。
まずは、と手にとった大きな袋から、なんだか動物園の匂いがした。えーなにこの匂いーとドキドキしながら中を覗いたら、大量の枯葉が入っていた。息子(9)が幼稚園の年少のころに拾って入れていたらしい。よかった、ドングリじゃなくて…。
初めは作品を広げて見ては思い出に浸っていたけれど、今の今まで枯葉が入っていたことも知らなかった程度の品だ。ここは心を鬼にして、書き損じのようなものや中途半端に残ったスケッチブックなどは息子たちに確認をしながらポンポン処分することにした。
途中、息子(9)の卒園時にわたしが書いた思い出の作品が出てきた。
息子たちが通っていた幼稚園は、卒園時に親から子どもへのプレゼントとして、幼稚園の3年間の思い出の写真と、親からの想いを綴り、一枚の画用紙にまとめるという伝統があった。わたし自身が作ったものなのでもう処分してええかな、と思い、一応息子(9)に尋ねてみると「捨てたらあかん!」と言い、わたしが綴った思い出を読み始めた。息子(12)も片付ける手を止め一緒に読み「ぼくの時のは?」と聞いてくる。どこかに置いてるはずだけどな、と片付けを進めていたら、ちゃんと出てきたので「あったよ」と渡したら、廊下に寝転がって読み始めた。
その間もわたしは片付けをグングン進めていたが、気づくと息子(12)がやたら鼻を啜っている。「鼻かみなさいよ」と言いかけて、なんだか様子がおかしいことに気づいた。あっ、泣いてる…!?
どうしたの?と聞くと、読んでいるうちにさみしくなってしまったという。
なにがどうさみしくなったのか、さらに聞いてみると「〇〇くん、いつまでもずっとだいすきだよ」の一文を読んだらさみしくなったという。いやいや、お母さんは今でもずっと君が大好きだよ?と頭を撫でながら伝えると「もう〇〇くんって呼ばへんやん。〇〇って言うやん」と、さらに泣きだした。
君の方から「外で絶対〇〇くんって呼ばんといてな」って言い出したから、そう呼ぶのをやめたんやけどね...。
最近ますます反抗期の極みだった息子は、自分自身でも感情をコントロールできずつらかったらしい。お母さんのことは好きやのに、時々めちゃくちゃ腹がたって仕方がなくなって、あとから後悔する、という本音も飛び出した。
そうよね、わたしは更年期であなたは反抗期。多分一番相性が悪い時期だと思う。でも、まあ、お互いとても大切なんだし仲良くしましょうよ、〇〇くん、と言ったら久々ににっこりしてくれた。かわいい...。
大掃除の最中にわたしのかわいいくんが帰ってきたのだった。