わたしのあたまのなか

わたしのあたまのなかの言葉を書きたい時に書く場所。覚えておきたい出来事やお出かけの記録、おいしいものについてもよく書きます。

大人の青春

 

わたしは普段、家に篭っていることが多いが、実は今年は少し忙しくて、しょっちゅう息子たちの通う小学校と中学校に行っている。

なぜかというと、4月から息子(9)の小学校の本部役員と、息子(12)の中学校の広報役員を勤めているからだ。だが、共に役員をやりたくてやったわけではない。

小学校はここで何かしらの役員を経験しておかなければ面倒な役回りを任される地域役員に選ばれてしまうため、また中学校も同じく活動量が多く忙しい別の部の役員にくじ引きで当たるくらいなら、と、消去法でまだ負担が軽い広報に立候補をした。

この先の免除権を得るために自ら選んだそれぞれの役員だが、会議や作業が何度もあり、いちいち学校に足を運ぶのも暑い夏は大変で、小・中学校のW役員を選んだことを少し後悔し始めていた。

 

さて、息子(12)の中学校では先日イベントがあり、その活動の様子を写真に納めてくる任務が広報にはあった。日差しがまだ強い青空の下、グラウンドを朝から1日中駆け回って、元気な中学生たちの姿を撮りまくった。とにかく生徒たちはみんな走って笑って歌って青春ど真ん中だったが、ふと気づくと、わたしたちもそんな子どもたちの姿を少しでもいい写真に撮ろうと走ってしゃがんで汗をかいていて、これもひとつの青春じゃない?と思った。

みんなで互いに目で合図をしながら、いいポジションを探った。そっちから撮る?じゃあ、わたしこっちから撮るわ!OK、じゃあ上からも撮っておくね!

言葉を交わさなくても、それぞれの気持ちが不思議と伝わってきた瞬間が何度もあった。

 

やっとイベントが終わり、広報の片付けも済んで中学校の腕章を本部に返却に行くと「みんなの腕章が汗で湿ってる!がんばった証だね」と、優しい会長さんからお褒めの言葉をいただいた。汗だくで、顔はドロドロ体はベトベトだったが、走り回った高揚感とやり遂げた満足感に包まれていた。

本部の控え室を出て、「なあ、乾杯せえへん?」と、思い切ってその日1日一緒に走り回ったお母さんたちに声をかけた。途中顔を合わせれば「なんか甘いもん飲みたい」「冷たいもの飲みたい!」と、お互いに言っていたのだ。持ってきていた水筒のお茶は飲みきっていたし、途中で買い足したペットボトルもすっかりぬるくなっていた。

「しよう、しよう」「がんばったもんな」と、校舎の中の売店に向かい、冷たいミルクティーを買って、生徒がもう少なくなっていた夕方の廊下で乾杯をした。

 

よくがんばった、こどもたち!!

よくがんばった、わたしたち!!

 

甘くて冷たいミルクティーを飲んだら、ぼうっとしていた頭が少しシャキッとした。喉が冷たくて気持ちよかった。

少し忙しい日々も悪くないな、と、思った。

まだまだ役員の仕事は始まったばかりで、これからそれぞれで行き違うことも、忙しすぎてくたびれることも時にはあるかも知れないが、またひとつ思い出ができて嬉しかった。いつか、息子(12)の中学校時代を振り返った時、きっと暑かったグラウンドのこと、この甘くて冷たいミルクティーのこと、静かな廊下のことも思い出すだろうと思った。

わたしたちは友達とはちがう、ただの保護者同士だけど、あの瞬間はひとつの仕事をやり遂げた仲間になれた。よしよし、来年の3月までがんばろう!気づくとみんな一気に半分ほどミルクティーを飲み干していて笑った。疲れた体に甘いもの、沁みるよね。

これは、大人の青春だな、と思った。

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