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塾探しの始まり
4年生になりCくんとクラスは離れたことで、
(卒業まで二度と同じクラスにならないように学校にお願いした)
息子の気持ちはだいぶ楽になっていたようだったが、学校とは別の居場所作りは続いていた。
私自身小学校のころ学研教室に通っていたこともあり、ほぼ同年齢の子どもたちでワイワイ勉強ができたらいいなと思ったが、あいにく自宅の近くには個別指導塾しかなかった。
ちなみに、個別指導塾とは、多くは現役大学生の先生が1人につき2人の生徒につきっきりで教えてくれる教室である。
①個別指導塾A
はじめに体験に行った個別指導塾Aでは、息子の苦手とする国語を教えてくれることになった。
45分の体験授業のあと、塾まで迎えに行くと息子はキラキラと顔を輝かせてこう言った。
「めっっっっちゃ楽しかった!!」
息子は国語が苦手、というか、国語に憎しみすら覚えていたはずなのに。
「何が楽しかったの?」と聞くと、わかりにくい主語、述語などを、当時流行っていた鬼滅の刃に例えて雑談を交えながらわかりやすく解説してくれたらしい。
大学生の優しいお兄さんが「ここ、わかりにくいよねー」と息子に共感をしながら進めてくれたおかげで、息子の中で「塾」というものへの警戒心のハードルが一気に下がった。
もうこの個別指導塾に決めようか、と、私たちも息子も思ったが、ここの塾長の先生がまた良い先生で、ご自身が集団授業塾と個別指導塾の両方で教えた経験があることから、どちらも体験した方がいいと強くすすめてくれた。
「一旦入塾してしまうと、他の塾で体験することはなかなかできません。本契約をするまでに3週間お待ちしますので、その間にたくさんの塾をまわって体験してきてください」
また、息子の学力テストの結果を見て、
「もしかしたら中学受験も視野に入れた方がいいかもしれないくらい息子くんの成績は優秀です。うちも受験対応はしていますが、この機会に受験に強い塾も体験してみてはいかがですか」
とも言ってくださった。
②個別指導塾B
そういうわけで、これまた近所の個別指導塾Bを体験することにしてみたが、ここは前日に予約の日時の変更を理由なく言ってきて、しかもその電話の対応がものすごく悪かったので「これは…」と、思うところがあり体験をキャンセルした。
(その数ヶ月後、その個別指導塾Bは潰れていた)
③個別指導塾C
次に自宅から近い個別指導塾Cも体験させてもらった。そこも同じく現役大学生のお兄さん、お姉さん方が教えてくださった。息子も楽しかったようだが、最初の個別指導塾Aがいいと言う。
後日、個別指導塾Cで体験後の感想や具体的なスケジュールなどの説明があり、塾長の先生と話す機会があった。
「もしかしたら」その塾長の先生は息子の学力テストの結果を見ながら言った。「息子くんは集団授業塾の方が伸びるかも知れません。うちも中学受験に対応はしていますが、集団授業塾は学べる量とスピードが全然ちがいます。中学受験はお考えではないようですが、この成績だともったいないと思います。うちの系列に集団授業塾がありますので、体験されてみますか?」
ちなみに集団授業塾とは学校の教室のような空間で塾の先生が授業してくれるスタイルである。
しかし、その集団授業塾のある場所が家からとても遠かった。これから通うとなると、息子も私たちもやがて大きな負担になるだろう。
けれどその時から「あれ?息子って賢いんかな?」と、思うようになったのも事実だ。もちろん勉強はできる方だと思ってはいた。性格も真面目だし。
でも、いろんな子どもを見てきたであろう塾の先生お2人に真正面から褒められ、「もしかして、中学受験するべき?」と思ってしまったこともあった。
しかし、私たちが息子に塾を勧める理由は、
「学校とは違う居場所」そして「様々な人と関わることで視野を広げてもらう」ことであるため、そこがブレるとこの先お互いにしんどくなってしまう。
そこで夫と2人で話し合って、とりあえず今は中学受験については全く考えないようにした。
結局、集団授業塾のすすめもあったが、息子自身の個別指導塾Aがいい!という気持ちに変わりはなかったので、そこにしようか、と動き始めていた時。
夫が、個別指導塾Cの系列の集団授業塾がすすめられた場所よりも、家から近い駅のそばにも、もう一つあることに気づいた。すぐにCに電話をして確認をすると「あ、そういえば、そちらの方がご自宅から近いですね!」と、いうことで、その集団授業塾に体験ができるか問い合わせをすると「明日の夕方ならちょうど算数の授業があるから体験できますよ」と言ってくれた。
個別指導塾Aと同じ教科を体験した方が比較しやすいかな、と思ったが、国語だと次の週になってしまうため、算数の体験予約をした。
④集団授業塾D
息子は乗り気ではなかったが「せっかくやし」と、早速算数の授業を体験させてみたら…
「すごいねん!授業がすごい楽しい。わかりやすい!ここに行きたい!」と、大はしゃぎ。
しかしながら集団授業塾Dには入塾テストがある。
それをクリアしなければ入ることはできない(らしい)
息子は相当緊張して臨んでいたが、結果は余裕でクリア。
集団授業塾Dの塾長の先生も、
「えっ、入塾できへんかもって思ったん?特に算数なんかしっかり出来てたから、もっと自信持っていいんやで」
と、優しく笑いながら息子に言ってくれて、私たちもとても嬉しかった。
その集団授業塾Dは中学受験に強いことを謳っていたが、私たちの
「学校とは違う居場所を作ったあげたい」
「視野を広げてあげたい」
という思いを、理解してくださり、受験は考えてないことも分かってくれた。
先生は言った。
「まだ4年生なので受験については気になさらず、楽しく通って賢くなってくれたら、後々彼の選択肢は広がります。この先もし中学受験をしなかったとしても、例えばSPIなどの勉強にも応用できますし、塾で学ぶことは無駄にはならないと思います」
そして、塾長は算数の担当でもあったため「これからこんな授業習うんやで」と、学校では習わない「植木算」などをかいつまんで話してくれて、息子は、うんうん、あ、わかります、と興味深く聞いていた。
通いたい塾が決まった
家に帰って息子は改めて「Dに通いたい!!」と言った。
「Aも楽しかった。でもAは楽しいだけで終わると思う。Dは自分の知らんことをたくさん知れて賢くなれると思う」
そうはっきりと言う息子に私たちも集団授業塾Dがいいんだろうなと確信が持てた。
後日、夫が個別指導塾Aに電話をすると、塾長が出てくれた。
「今日お電話をくださったということは、これまできっとたくさん周って体験してくださったんですね。息子くんはきっと集団授業塾の方が伸びると僕も思いますので、いい選択をされたはずです。頑張ってください!」
他の塾を選んだのに…?
なんていい先生なんだ!と感動した。
こうして、息子の通う塾が決まったのだった。
(余談だが、それ以来、塾の相談を受けると、個別ならAがおすすめだよ!と勝手に宣伝している)
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