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1.ザリガニの鳴くところ
https://item.rakuten.co.jp/book/17663223/
鳴かないはずのザリガニなのに「ザリガニの鳴くところ」というタイトルが気になって仕方なくて読んだ一冊。
小さな町のはずれの湿地帯で発見された一人の青年の遺体から物語は始まる。
幸せの絶頂で起きたあまりにも早すぎる死、常に光の当たるところで生きてきたはずの青年には相応しくない最期の場所。事故死で片付けるには、謎が多すぎる事件と見て警察はある一人の少女を犯人と見て動き始める。
その少女とは、湿地帯のボロボロの小屋で、両親にも兄弟にも残されて幼いころからたった一人で住んでいたカイアだった。
結構厚みのある本なのだけど、過去と現在を行き来しながらカイアがどのように生き延びたのか、その様子を紐解いて進むので、中だるみのないまま最後まで読むことができた。読み手の心に訴えかけてくる情景や感情のゆらぎが、まるで湿地の土のように重たくて冷たい。
読み終わって、この表紙を見ると胸にぐっとくるので、わたしはしばらくの間表紙を眺めては余韻に浸った。
また、読み終えてから思わず気になる箇所を読み返す仕掛けもあって、ああ、この本は「読む」ということを存分に知っているなあ、などと思った。素晴らしい一冊だった。
2.終末のフール
https://item.rakuten.co.jp/book/6072808/
NETFLIXを観ていたら「終末のフール」という韓国ドラマが目に留まった。
なんとなく観てみたら原作に伊坂幸太郎さんの文字を見つけて「あ、そういえばそんな本があったな」と、やっと、その韓国ドラマの原作がこの本であることを知った。
肝心の韓国ドラマは、というと、正直に言うと「んー、ちょっとよくわかんないな」と一話の途中でやめてしまったのだけど、この原作が気になったのドラマはやめて本を読むことにしたのである。
物語は、今から八年後に小惑星が地球に衝突して人類は滅亡する、とわかってから五年が過ぎたころの仙台のある小さな町にある団地の住人のそれぞれの「終末」を描いたもの。
五年前のパニック状態から町は落ち着いたものの、人が減った団地は静かで、それでいてうわべだけの日常は続いていて、奇妙なものだった。とは言え、日がのぼれば一日は始まり、時間だけは過ぎていく。
そんな様子が、まるでコロナのあのころと、また今の不安なホルムズ海峡と、ほんの少し似ているようで、なんだかドキドキしながら読み進めた。もしこの状況に自分が置かれたらどうなるだろうか。やってくるその最後の日まで人間らしく生きることが出来るだろうか。心配に押しつぶされてしまうような気がするし、パーンと何かが壊れて無神経に生きているような気もする。そんなことを考えながら読んだ。
ただ、読んでみて、原作の「終末のフール」はさすがの一冊だったけど、改めてあの韓国ドラマの「終末のフール」って、一体何?!と思ってしまった。たった一話しか観ていないからかも知れないけれど、この本の始めから漂う静かな狂気とはあまりにも違いすぎる気がする。韓国ドラマ版を最後まで観たらこの素晴らしい原作とリンクして、納得できるのだろうか。
3.水車小屋のネネ
https://item.rakuten.co.jp/book/17385896/
物語は、一九八一年、理佐があともう少しで普通の短大生になれるはずだった時から始まる。
普通ではない母親と、普通ではない母親が連れてきた恋人の男の元でこれ以上暮らす必要はないと感じた理佐は「鳥の世話じゃっかん」と書かれたお蕎麦屋さんでの住み込みのアルバイトをするために、小学三年生になる妹の律を連れて、その冷たい家を出ることにした。
「鳥の世話じゃっかん」と、書かれている時点でなんだかわくわくしてしまうアルバイト。経験する必要のないつらい日々を過ごした理佐と律が、いつも冷静で互いを守る姉妹なので「どうか、この子たちが幸せの日々を過ごせますように」と、応援しながら読み進めた。
物語は、一九八一年から二〇二一年まで続くので、合間にわたしたちも経験したコロナ禍の様子もあり、このおかしなお蕎麦屋さんでの日々がより身近に感じられて、今も理佐と律の日々は続いているような気ができるところがとてもよかった。
4.飛ぶ教室
https://item.rakuten.co.jp/book/4123227/
以前読んだ本「図書室のはこぶね」の中に出てきたこの一冊。
この作品を読んでから、やっぱり「飛ぶ教室」も気になったので読むことにしたのだ。
「飛ぶ教室」という本の存在はもう何十年も前から知ってはいた。なぜなら、その昔、書店でアルバイトをしていたため夏休みや年末年始の文庫フェアで必ず並んでいたのを目にしていたから。けれど、特に手に取ることなく過ごしてしまっていたのだけれど、今回読んでみたら、それぞれに事情のある幼くて強い子どもたちが、悔しさをバネにして成長したり、固い友情でお互いを守り合ったりと、なんだか熱い物語で読んでいてわくわくするいい本だった。
これは、学生の時に読んでいたかったなあ、と思う一冊だったので、息子たちに「なんかいい本ない?」と聞かれた時にすぐに薦めることができるように本棚の目立つところにしまっておくことにしたのだった。
5.青天
https://item.rakuten.co.jp/book/18471502/
ここ数年「あちこちオードリー」を観るのを楽しみに生きている。
「あちこちオードリー」は誰がゲストでもほぼハズレの回なく楽しめるので、放送日の翌日にU‐NEXTで観て特に面白かったら、家事をしながら繰り返し観るのがわたしの楽しみのひとつなのだ。
ラジオまで聞くほどの深いオードリーファンではないのだけど(聞いていた時期もあったけど)若林さんがこれまで出した本は全て読んできた。そのため、今回の「青天」の出版も楽しみにしていたのだった。
さて、実際にオードリーのお二人が学生時代にアメフト部に所属していたのは有名なお話。「青天」は一体どんな物語だろう、とわくわくしながらページをめくったら、すぐにどんどん物語に惹きこまれていった。
総大三高の弱小アメフト部に所属するアリと河瀬。
チームは弱小でも、二人の心の内だけには通じる熱いものがあったため、強豪遼西高校の練習風景を盗撮することにした。けれど、呆気なく見つかり監督の前に引きずり出されるも、意外にもお咎めなしで練習風景を真正面から見せてくれるという。
高校としての練習量や士気の違いを見せつけられ、お手上げ状態のアリと、もしかしたら勝てるかも知れないと早速分析を始める河瀬。自分たちにしか出来ない隙をついた試合展開を練習し始めるが…
正直なところ、途中まではページをめくる手が止まらず、わーっという歓声などもあたまのなかで想像できたり、どきどきしながら文章を追ったのだけど、残念ながら全くアメフトのルールも知らないし試合も観たことがないので、ちょっと途中からなんとなくしかわからないまま読んだ。ニュアンスというか、本当になんとなくしか想像できなかったけれど、文章から感じられる臨場感がすごかったこともあって、途中の展開には胸がぎゅっとなったり落ち込んだりしたので、次回作がとても楽しみになれる一冊だった。
やっぱりわたしはオードリーのお二人が好きなのだろう。