わたしのあたまのなか

わたしのあたまのなかの言葉を書きたい時に書く場所。日々のこと、美味しいものや旅日記、好きな海外ドラマについても書いてます。

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はじめてのコーヒー

 

友人と3人で会うことになった。

この日の構成はややこしくて、友人Aさんが昼から合流、友人Bさんは朝から空いているけれど夕方で離脱、わたしだけが1日中フリーだった。

そんなわけで、先にわたしとBさんの2人で朝からお茶をしながらAさんを待ち、その後3人でランチを食べて、Bさんが離脱するタイミングで解散しましょうという流れになった。

どこで先にお茶をしておこうかなあと考えていたら、Bさんが「ここはどうですか?」とリンクを送ってくれた。なんでも、バリスタで優勝した人がいるカフェで前から気になっていたお店らしい。Bさんの趣味はカフェ巡りで、よく1人であちこちのカフェに行っていることを知っていたわたしは、彼女の見つけてくれたお店に行ってみたいと思った。

当日、朝から2人で電車に乗ってJR稲荷駅まで行き、そこから少し歩くと、お目当てのカフェ「ABOUT US COFFEE」に着いた。

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さて、バリスタ優勝とはなんだかすごそうなお店なので混んでるかな?と思いながら入ると、まだ朝が早かったせいかレジ前にお客さんはいなかった。どうやら、1階のレジを済ませてから2階で飲むシステムのようだ。

レジに立つと、メニュー表には1杯だけならこちら、2杯飲むならこちら、のような表記しかないしお値段も記載されていない。

注文の仕方を尋ねると、値段を記載していないのは使用するコーヒー豆によって料金が変わるためで、飲みたいコーヒーの味の希望や共に食べるデザートに合ったおすすめの豆で淹れてくれるという。なんだかおもしろいカフェだなと、わたしはわくわくしてきた。

先に注文することになった友人は、酸味を抑えた豆が好みであることを伝え、デザートに700円のアールグレイチーズケーキを注文した。

ケーキが700円ということは、コーヒーはいくらくらいだろう?などと予想していると、お店の方の声に思わず驚いた。

「では、1700円です」

…え?じゃあコーヒーが1000円ってこと?1杯1000円?!

友人はたじろぐことなく支払い、先に階段を上っていった。

わたしの注文の番となり(きゃー!1杯1000円のコーヒーなんて飲んだことないー!うわー!)と心の中でわーわー叫びながらも、表面はスンと落ち着いた顔で注文口に向かった。

落ち着いているふりはしたものの動揺していたので好みなんて伝える余裕のないまま、台湾パイナップルケーキを注文した。わたしはネチネチとした食感の甘酸っぱいパイナップルのジャムがサンドされた台湾のパイナップルケーキが大好物なのだ。

すると、お店の方が「お連れ様と同じコーヒーになってしまいますが、相性が一番いいのはこちらの豆です」と、エチオピアの豆をおすすめしてくれた。コーヒーなのにマスカットや白桃のような甘い香りを感じられる豆らしい。

ふむ、なるほど。先ほどは値段に驚いたけれど、確かにそんな風味が感じられるコーヒーなど聞いたことがない。お高いだけの理由があるのだろう。レジ前には他にも数種類の豆があったので、そちらもどんな味がするのか聞いてみたくなったけれど、せっかくなのでお店の方のおすすめ通りにお願いすることにした。

 

2階に上がると、まるで映画のセットの中のような壁一面のお花にテンションがあがる。

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かわいい

隣のテーブル席では旅行客なのか外国人親子が座っていて、なぜかコーヒーとおにぎりを食べていた。モーニングにおにぎりがあるのだろうか。

席に着くなり友人が「1000円もしましたね」と謝ってきた。なんでも、値段を聞いた時、口には出さなかったのにわたしの動揺が伝わってしまったらしい。お恥ずかしい。けれど、冷静に見えた友人もその内心はわたしと同様に驚いていたようだ。知らずにお高いお店にお誘いしてしまい申し訳ない、と言うので、確かに動揺はしたけど、こんなコーヒーはなかなか飲めないから楽しみだ、と伝える。

間もなくコーヒーとデザートが運ばれてきた。

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おしゃれ

ビーカーのようなガラス容器にコーヒーが200ml入っていて、これをコロンとした形の湯呑み茶碗のようなカップに移して飲むらしい。禅を意識しているのだろうか?なんだか色々謎めいているけれど、2人でわくわくしながらカップに移して飲んでみた。

「…酸っぱい」

向かいに座る友人が顔をしかめる。確かに。思いっきり酸っぱい。あと、薄い。それにコーヒーというよりかは、黒糖っぽい味がする。わたしも友人も思っていた味と違うはじめてのコーヒーに戸惑った。

ふと、わざわざカップに移させるのなら空気を含むと味が変わる仕掛けかも!と思いつき「これさ、ワインみたいに空気を含んで飲んだら味が変わるんじゃない?」と、2人でまるでワインのティスティングみたいに口をすぼめて空気を吸いながら味わってみることにした。

「…いや、変わらないですよ」と、友人。

「変わらないね」と、わたし。

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この豆の特徴を示したカード

そもそもワインのようにして味わうコーヒーなど聞いたことがない。大真面目に2人で何をやっているのだ、と、笑っているうち、そういえばデザートに合うコーヒーを選んでくれたのだからケーキを食べたら何か変わるかも!と、2人でいそいそとケーキを一口食べて、コーヒーを飲んでみることにした。

 

 

すると、その時だ。

まるで花がふわっと開いたかのようにあれだけ強く感じた酸味は消え去り、さっぱりとしたコーヒーの爽やかな味が口に広がる。さっきまで感じていた薄い黒糖のような味は、まろやかな柔らかいコーヒーの味に変わっていた。

「…おお!」2人で思わず声をあげて驚いた。

そうか、デザートに合うコーヒーとはこういうことか!飲むうちに、普通のコーヒーなら残りがちな渋みや苦みが全く口に残らないことにも気がついた。さっぱりとした後味で、口に残る風味がとても爽やかだから、またもう一口飲みたくなる。ケーキの甘さを流してくれるのに、その美味しさが引き立つコーヒーだ。

際立ってマスカットや白桃の味までは感じられなかったけれど、飲んだあとに鼻に抜ける香りはまさしくフルーティーという表現が正しい。

台湾パイナップルケーキも、惜しみなくパイナップルのジャムがサンドされていてとっても美味しかったし、友人のアールグレイチーズケーキも一口もらったらいい香りでしっとりしていて美味しかった。

ケーキと共に味わうコーヒーは本当に魔法がかかったみたいに味が美しく変わって、こういうコーヒーもあるんだな、と思った。

ふと気づくと、2階の席はわたしたち以外全員外国人で埋まっていた。もしかして海外のガイドブックに載っている有名なお店なのかも知れない。この人たちもコーヒーの魔法に驚いたかな?と見たら、彼らはクリームがたっぷり乗ったアイスカフェオレのようなものを飲んでいた。…あれ?そんなものもあったの?

 

 

その後、Aさんが合流して、ランチは結局長居ができるファミレスに行くことにした。

ランチとサラダバーとドリンクバーでたっぷり3人でお喋りもして、合計1500円だった。

お昼ごはんよりお茶の方が高かった…!

Bさんと思わず顔を見合わせて笑った。

コーヒー1杯1000円は、決して安くはないだろうけれど、あれほど深く味わって飲むコーヒーははじめてだった。自分の中でコーヒーとはこういう味、と決めつけてしまっていたこと、そして、世界にはいろんな味のコーヒー豆があるんだなと知れるきっかけにもなった。

それに、この先京都を去ることが決まっているBさんと忘れられない楽しい思い出がまたひとつ増えたと思えば、これはこれでよかったのだ。

いい経験だった。