ある平日、夫とお昼ごはんを食べに行くことになった。
その日、わたしはなんでもよかった。食べたいものも食べたくないものもない。だから、夫に何か食べたいものはあるか、と聞くと「つけ麺が食べたいねんけど…」と言う。つけ麺か…。
実はわたしはこれまで一度しかつけ麺を食べたことがない。それも今から15年ほど前に東京への旅行中に「つけ麺」というのぼりを見つけて初めて食べたその一度きり。
ちなみに、その時の感想は「なんだ、こりゃ」だった。別にまずいわけではない。けれど、わたしはラーメンの醍醐味とは麺よりもスープだと思っている人間なので、スープをごくごく飲むことのできないつけ麺の、その食べ方と美味しさがよくわからなかった。以来、つけ麺とは距離を置いて生きてきたのである。
けれど、今回は夫に「何が食べたい?」と聞いてしまった以上、その希望を無視するわけにはいかない。というわけで、つけ麺を食べるために麺やたけ井というお店に行くことにした。なんでも、夫はここの辛味噌がもう一度食べたいらしい。以前、仕事で外出中のお昼休みのランチに、この辛味噌のつけ麺を食べてからというもの、その美味しさがあたまから離れなかったというのだ。
そんなに美味しいのなら、わたしも辛味噌とやらでつけ麺を食べてみようじゃないか!

ちなみに麺やたけ井とは、京都の城陽に本店があり、大阪を中心に十数店舗展開しているつけ麺で有名なお店である。今回は、京阪くずは店にはるばる車で行くことにした。

か、辛そうな色…!
運ばれてきたスープの赤さにもびっくりしたけれど、何よりその麺の太さに驚いた。カウンター席の隣に座る夫に小声で「これ、もううどんやん」と言うと「この太さがええねん」と言う。夫曰く、小麦の香りがしっかり味わえるこの太麺をわしわし食べるのがいいらしい。
夫はまず麺だけわしわしと食べて「あー、うまい。これが食べたかった」と感動している。へえ、とわたしも習って麺だけ食べてみる。見た目はほぼうどんだった麺は、食べてみると当たり前だけど、うどんとは全然違う。だけど、ラーメンの麺、と言ってしまうにはあまりにも噛み応えがある!これはちゃんと噛まないと喉に詰まってしまいそうだ。
さて、わたしは、一口目をどう啜るべきか悩んでいた。
またもや夫に「これって、おそばみたいにチョンとつけて食べた方いいの?それとも、どっぷりスープにつけて食べるべき?」と、問うと「どっちでも好きな方でいいで。俺はたっぷりつけるけどな」とのことだった。
なんか、たっぷりつけて食べるのは下品でご法度、とか言われんのかな、と思ってたけど、別にどう食べてもええんやな。というわけで、熱々の赤い辛味噌スープに麺をしっかりくぐらせて、ずずずっと啜ると、スープの色から予想していたよりは辛くない。ただ、麺が太いので一気に2本ほど啜るので精一杯。油断していつものラーメンのように啜ってしまうとすぐに口の中がぱんぱんになってしまう。
スープの上にたっぷりかかった魚粉の風味のあとに、辛味噌のコクが追いかけてくる。味変にブラックペッパーと一味が卓上にあったけど、山椒も合いそう。
麺の上に乗った大きなチャーシューを味わっていたら、隣の夫の麺があと少しを残すのみになっていてびっくりした。夫の麺は特大なのに?!並のわたしの麺はまだ半分以上残っているのに?!こんなに太い麺を、いつものようにツルツルと食べたのだろうか。
食べ終わり、お店を出たら夫が「どう?つけ麺は」と聞いてきた。正直なところ、やっぱり何がいいのかわからない。もちろん、まずいわけではない。でも、わたしはラーメンの方がいいな。
麺やたけ井を出て、すぐそばにあるくずはモールをぶらぶら。

わたしの愛するくずはモール
息子たちへのお土産にビアードパパのシュークリームを買って帰ることにした。息子(10)が帰ってくるまでそんなに時間もなかったので、ゴンチャで阿里山烏龍ミルクティーをテイクアウトして2人で飲みながら帰った。

ところで、わたしは烏龍ミルクティーの美味しさをタピオカブームで知った。あのブームのおかげで美味しいお茶を気軽に飲めることができて、本当にありがたい限りだ。
帰宅して再び夫から「つけ麺どうやった?」とまた聞かれた。「だから…」と言いかけて、食後とは、ちがってまた食べてみたいなという気持ちになっている自分に気づいた。それを言うと夫もそうだったらしい。食べてから時間が経つと、また食べたくなっていたという。なるほど、つけ麺とは奥が深いものなのだな、と思った日だった。