MBTI、という言葉は知っていた。
今より随分前の、それをよく聞くようになり始めたころに、気になって一度やってみたことはある。だけど自分が予想をしていた以上に質問が多く続き「なんだ、これは」と、面倒になって途中で放り出してしまったのだった。
さて、知り合って2年になる友人のSさんとAさんと先日お茶をした時のこと。彼女たちとは、友人になって2年とまだ日は浅いけれど、わたしはこの3人で共に過ごす時間が、やけに居心地がよくてとても好きだ。
その日も、土曜の午後から集まってファミレスでデザートを食べながら、浅い話から深い話までいろいろ喋っていた時、ふいに友人のSさんが「そういえば、お2人のMBTIってなんですか?」と、わたしとAさんに尋ねた。
共に自分のそれを知らなかったわたしとAさんは顔を見合わせて「その言葉はよく聞くけどさ…」と、答えると彼女は「今度やってみてくださいよ、おもしろいですよ」と、言う。「あれって当たってるものなん?」と、尋ねるとSさんはご自身の性格と当たっていたそうだ。
質問が多くて面倒だった思い出が脳裏をよぎりつつも、Sさんがそう言うならやってみようかな、と、その日の夜の寝る前に試してみた。
いざ自分のMBTIを調べてみる。やっぱり質問が多い。しかも、普段「理性」とか「議論」とかという言葉からは程遠い生活をしているわたしは、質問の意味がわからず何度か読み直しながら進めた。おそらくSさんから話題を振られなければ一生やる機会などなかっただろう。とは言え、途中には強くうなづきたくなったり、逆にそんなわけないやろと思いっきり顔をぶんぶんと横に振って否定したくなる質問もあって、以前に試した時よりもおもしろい。そんなこんなでわかったわたしのMBTIは、INFJ-T「提唱者」だった。
へえ、と、結果を読んでみると、その特性として、「まあなるほど、自分のことだな」と、感じることが書いてあった。
例えば、この「提唱者」の弱い特性としては、
・否定的なフィールドバックに敏感
・マイナス感情の抑圧
・欠点を気にしがち
・心を開きにくい
など、普段わたしがくよくよと悩みがちなところが書かれていて、改めて文字にして読むと本当に嫌になる。
ところが、読み進めていると合っている仕事に「カウンセリング・医療・教育・非営利団体での職務」と、ありドキッとした。
実は、ここのところ、今やっている学校での仕事がわたしには向いていないんじゃないのか、と、ちょっと落ち込む日々が続いていたのである。元々期間が限定された仕事ではあるので、今の学校でずっと働けるわけではないけれど、希望すればこの先別の学校で働くことは可能らしい。でも、わたし、この仕事は好きではあるけど合ってるのかな?などと、モヤモヤとしていたのだ。
何もMBTIの診断ひとつで「学校での仕事が向いている」と、言うわけではないけれど、MBTIを調べると自分の弱い特性と強い特性を知ることができる。わたしの強みの特性とは、
・他者の感情や動機を理解・解釈する能力
・洞察力のある問題解決
・深い共感力
・丁寧な傾聴力
・成長を促す力
などと、自分では気づけなかった能力を褒められたようで、ほんの少しだけ自信がついたし、何よりわたしはわたしに「こういう面もあるかも知れないし、そこまで悩まなくてもいいんじゃない?」と、ちょっとだけ自分を甘やかそうと、力を抜くことができた。
実は今の学校の仕事を「こんな仕事が合ってるんじゃないですか?」と、わたしに教えてくれたのはSさんだった。しかも、それは書類選考の締め切りの3日前のタイミングのことで、決めるなら今しかない!という時だった。
いざ行動に移すべき場面が迫ると「いや、でも、わたしなんかが学校で働ける?」と、腰が引けてどきどきもじもじと悩んだ。すると「私は石子さんみたいな人が職場にいたらすごく心強いですけどね」と、最高の誉め言葉で背中を押してくれたのもSさんだ。
彼女は今回も絶妙なタイミングでわたしにMBTIを勧めてくれた。「こういう面があるかも知れない」と、自分の内面を知ることで「ああ、気づかないうちに他の人の心の内を考えすぎていたのかも知れないな」と、思った。自分だけではどうにもできない状況でも寄り添いすぎてしんどくなってしまっていたのも事実だった。
でも、今の仕事はやりがいもあって、わたしの特性にも合っているなら、もう少し続けてみてもいいのかもな。そんな風に、ちょっと心の内が軽くなって前向きに考えられるようになった。
今度また3人で会う頃には、わたしを取り巻く状況がまた今とは変わってるかも知れないけれど、少なくとも今のわたしの心は救われた。AさんはきっとMBTIを調べてないだろうな。忘れてたわ、とか言って朗らかに笑いそうだ。そんな風に気にしないAさんと、気にしすぎなわたしと、気がつくSさんだからこそ合うのかも知れない。
というわけで、提唱者(もうすでに気に入っている)は、また次に集まってお茶をする日が今から待ち遠しいのだった。

山の上にまん丸のお月さんが出ていた