4月の中旬のある日のこと。
夫が「ドラマ「ガンニバル」を観たいから、Disney+を1ヶ月だけ申し込むことにした」と、言った。なに?!Disney+だと?わたしの心は踊った。現在、U-NEXTとAmazon Primeに加入して快適なドラマライフを過ごしている我が家だが、わたしには以前からどうしても続きを観たいドラマがあった。けれど、それはDisney+でしか配信されていなかったので、いつかどうにかしてDisney+に加入できないものかなあ、と、願っていたのだ。棚からぼた餅とはこういうことだな。
さて、その続きを観たいドラマとは、アメリカで2006年から2011年にかけて放送されていた「brothers&sisters」という作品だ。当時、わたしはこの作品を観るためにTSUTAYAに足繫く通いチマチマとレンタルしていた。ところが、途中で、自宅近くのTSUTAYAが閉店してしまい、家から行ける範囲にあった他のTSUTAYAには「brothers&sisters」が置いておらず、観れなくなってしまった。そして、そこからずーっとこの作品の続きが気になって仕方なかった。
「brothers&sisters」の簡単なあらすじに書いておくと、5人姉弟の父であるウィリアム・ウォーカーが突然死することで始まる家族の問題と再生の物語だ。成人して家庭を持つものもいる三男二女の5人姉弟と、ウィリアムの妻であるノラは、突然の父の死に悲しんでいたが、なんとウィリアムには長年愛人がいたことが発覚。しかも、父と長女サラと長男トーマスで家族経営をしていたオーハイ食品の会社のお金が、生前父によって使いこまれていたことまでわかり、幸せそうに見えたウォーカー家の基盤は一気に崩れてしまうのだった。
こう書くとドロドロとした家族ドラマを想像されるかも知れないけれど、この「brothers&sisters」は、根底に家族愛が溢れていて、四面楚歌の問題もお互いに支え合って解決していくし、新しい一歩を進んでいくので、本当に飽きない。姉からしか見えない世界、妹しか分からない気持ち、兄弟だけに築かれた絆。物語の中の役者さんは他人のはずなのに、まるで何十年も積み重ねてきたような信頼関係が見えて、まさにbrothers&sistersな家族の出来事が描かれていて、観ていると、泣いたり笑ったりと忙しいドラマでもある。
そんなわけで、わたしは夫がDisney+に加入したのをきっかけに、この「brothers&sisters」を十数年ぶりに観れることになった。もううっすらとしかストーリーを覚えていないし、どこまで観たのかもわからないので第1話から観ることにした。
ああ、そうそう、ウォーカー家のこの感じ。懐かしい。ちなみに、我が家は、二階にあがる家の階段の壁に沿って家族写真を飾っているのだけど、それはこのドラマの中のウォーカー家の装飾を真似たものである。そう、それくらい、わたしはこのドラマが大好きだった。
とは言え、「brothers&sisters」は全部で5シーズン、111話もあった。多い、多すぎる。それにDisney+は、倍速で観ることが出来ないので、全部を観るのはなかなか大変なことだった。
結局夫が「ガンニバル」を観終えたあとも「「brothers&sisters」を観るまでは契約してほしい」と頼んで、4月の中旬から7月の初旬までたっぷり2か月半ほどかかって最終回まで観ることができた。
最終回は打ち切りだし、途中に降板もあったり、中には中途半端な展開もあったけれど、なんとか最終回といえる形にまで漕ぎつけてくれてよかったなあと思った。
ほぼ毎日ウォーカー家の5年間の物語を見ていたので、終わってしまった今はとてもさみしい。ずっと観たかった作品だけに、やっと完結を見届けた今は放心状態で、なんだか、まるで親戚の家で過ごした長い長い夏休みが終わってしまったようだ。自分の周りにいつもいた騒がしい叔父さん、叔母さんがいなくなり、静かな日常に戻ってきたような。ホームスティをしたことなんてないけど、アメリカの家から日本に帰って来たような不思議な気持ちで今はいる。
ドラマは最終回を迎えたけれど、今もまだあのウォーカー家はどこかで続いているのかも知れない、と思うと自分だけの楽園を心の中に得た気持ちになれる。大人になっても姉妹兄弟で顔を合わせて話して、助け合い、全ての子どもたちに絶え間ない愛を与え続ける温かい母が包む家族のその姿は、おそらくわたしの憧れ全てだったのだろう。