久しぶりに職を探している。
しかし、息子(9)が極度の怖がりのため、夕方にお留守番などができない。先日もほんの15分だけお留守番をお願いしたところ、わたしが帰宅をするとややパニックになって泣いていた。家の中で物音が聞こえて怖かったらしい。困ったものだが、これもそのうち平気になるだろうから、今はまだ息子の成長を待って合わせるしかない。
そんなわけで、わたしの職探しには、息子が小学校に行っている間だけ、という時間の制限がつきまとう。そんな中で条件に合うお仕事が見つかったので、応募してみたところ、なんと面接に漕ぎ着けることができた。
息子(13)を妊娠する少し前からわたしは専業主婦だったので、なんとかれこれ約15年ぶりの面接である。正直なところ書類選考で落ちるだろうと思っていたこともあり、面接のことなどまだちゃんと考えていなかったわたしは、面接の日時を告げる電話の向こうの担当の方に、服装はやはりスーツがいいのか思いきって尋ねてみた。すると「スーツじゃなくてもいいですよ。普段着じゃなければ大丈夫です!」と教えてくれた。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、とはこのことだ。思いきって聞いてよかった。と、いうわけで「普段着じゃなければ」を「個人懇談や授業参観などに行けるような」と、解釈したわたしは、ブラウスと黒のパンツを着て面接に行くことにした。
さて、当日、会場に着くと、部屋の中で先に1人の男性が面接を受けている声が聞こえてきた。ふむふむ、何やら難しそうな話をしているぞ?あれ、面接ってこんな難しい話をする感じだっけな。ちなみにわたしはパート職の応募だ。なんだかえらく話しこんでいる。いや、いかんいかん、盗み聞きはフェアじゃない。そんなことを考えていたら先客が部屋から出てきた姿を見て、わたしは驚きのあまりパンチをくらった気分だった。
なんと、彼はビシッとしたスーツ姿だったのだ。わたしは帰路に着く彼と会釈を交わしつつ「あれ?スーツ?なんで?」と、脳内でいくつも湧いてくる「?」の処理を急いでいたが、そんな努力も虚しく中からすぐに名を呼ばれてしまった。部屋の中に入ってまた驚いた。なんと面接官も全員スーツだった。しかも面接官は複数人だった。やべえ、こんなお堅い仕事だったとは!家を出る直前まで着ていたカーディガンを着てこなくて本当に良かった。それでも、場違いとしか言いようのないわたしの格好はまるで、脱衣所で1人だけ全裸になっている状態のようで落ち着かない。
緊張が度を超えたためヘラヘラしてしまいながらも必死に受け答えをして、面接が終わる頃にはまるで這うようにして部屋を出たわたしは、再び強烈なパンチをくらうはめになった。
なんと、廊下にはこれまたビシッとスーツを着た他の求職者たちがいたからだ。
話がちがう〜!スーツじゃなくていいって聞いたのに〜!面接を待つ彼らともまた会釈を交わして、フラフラのあたまで駅までの道のりを歩いているうちに、ふと、気づいた。もしかしてこれは「スーツじゃなくてもいいですよ」を、言葉通りに受け取ったわたしが悪くて「スーツじゃなくてもいいですよ」は「そんなもんスーツに決まってるやろがい!」という意味だったのだろうか。あああ、しまったー!
面接の最後に結果は後日知らせると言われたけれど、もう結果を待たなくてもわかっている。スーツじゃなかったし、あとから考えてもしどろもどろな回答すぎた。だめだ、こりゃ。今回は社会復帰のリハビリを受けさせてもらったのだと思おう。というわけで、わたしは引き続き職探し中だ。
(そして、リクルートスーツも探している)

その日大阪で夫が買ってきてくれた御座候
久しぶりの白あんがしみじみ美味しかった