夏に兵庫県立美術館のそばの商業施設の中で食べたたい焼きを忘れられずにいる。
わたしは御座候という回転焼き(大判焼き)のお店が実家のそばの駅にある環境で、それを食べて育ってきたので、同じ粉ものでもたい焼きはほぼ食べたことがなかった。おそらく昨年の夏から今までが、人生の中で1番たい焼きを食べている期間だろう。この前もたまたま行った先の商店街にたい焼き屋さんを見つけたので、思わず買ってしまった。ちなみに、わたしにとってたい焼き=カスタードということをご想像の上でお読みいただきたい。
夕方の時間だったので、もう帰宅すればすぐに晩御飯という状況だったが、我慢できなかった。今を逃せばこのたい焼きを食べるチャンスは次はないかも知れない。看板には150円、と書いていたのに「120円ね」と言われた。わたしたちの前の人もそう言われていたので、どうやら閉店前のタイムセールらしい。お店から駅の方に向かって歩きながら食べるべく、カサカサの白い紙袋から取り出して驚いた。
柔らかい。あれ、これ茹でたんかな?と思うほど、たい焼きがしなしなのやわやわなのだ。

写真のように手のひらに乗せて持たないとデロンと落ちてしまうくらいの柔らかさ。言い方は悪いが鮮度を失った鯛のようだ。しなしなのやわやわと書いたが、実のところぶよんぶよんと書いた方が正しい。うーむ、焼いてから時間が経っていたのだろうか。まあ、タイムセールをするくらいのたい焼きなんだし、仕方がない。ぶよんぶよんだがじんわりとした温かさはある。長く保温をしてたことも関係しているのかも知れない。
ごちゃごちゃ考えずにとりあえず一口ぱくっと食べる。…おお!!大体一口目は生地だけ、もしくは生地が8割カスタードが2割なものが多いのに、これは、生地が2割、カスタードが8割だ。甘くてトロトロのカスタードが一口目から口の中に溢れる。生地もしっとりとしていて、カスタードを邪魔しない食感だ。
なるほど、ぶよんぶよんだったのは、中のカスタードが多いせいか!鮮度を失った鯛とか言ってすまなかった。極限までカスタードを入れられてかつ保温されていたから、パリパリではなくぶよんぶよんのたい焼きだったのか。
気をつけて食べないと、口からカスタードが漏れ出てしまうほどたい焼きの中はカスタードでいっぱいだった。とにかく美味しい。カスタードの甘さもちょうどよく、とろり、とろりと広がって、最後にふわんと生地の小麦のいい香りが鼻から抜ける。
これは、兵庫県立美術館のそばのその名も「最上」というわたしのたい焼き人生が始まったお店に次ぐ、いや、超えたたい焼きを見つけてしまったかも知れない!一緒に食べた息子たちと「美味しい」「なにこれ」「また買おう」と、言いながら駅に着く頃にはたい焼きはすっかりお腹の中におさまり、甘さの余韻を楽しみながら家路についた。
さて、ここまで読んで下さった方の中には「そんなに美味しいのなら店名を!」とソワソワしているたい焼きラバーもいるかも知れない。
実は、先日、ついでの用事もないのにわざわざ電車に乗ってこの商店街までたい焼きのために行き、今度は昼の時間に買ってみたのだ。昼だからか表示通りの150円だった。が、なぜか、今回食べてみたらやわやわのたい焼きには変わりはなかったが、カスタードが減っていた。一口目は生地しかなかった。わたしはたい焼きは尾頭からぱくっと食べるタイプだが、最後の尾鰭も同じくほぼ生地だった。それもちょっとパサパサの食感。最後にふわんと小麦の香りはしたし、カスタードは甘くてトロトロだったけれど、でも食べたかったのはこれじゃない。期待していた分、えー、あの時のたい焼きとちゃうやーん!と、泣きそうになった。
もしかしたら作る人によってカスタードの量が違うのかも知れないし、あれは、あのお店の中の名人がたまたま作ったものだったのか、もしくは、閉店間際で材料を使い切るために残りのカスタードを全部ぶち込んだラッキーたい焼きだったのかも知れない。というわけで、まだまだ調査が必要なため、今回はお店の名前を伏せておきたいと思う。

2回目のたい焼き
わたしの写真の撮り方、向きの違いもあるが、ラッキーたい焼きと2回目のたい焼きはやっぱり見た目も違う気がする。もしかしたら2回目は1人で買いに行ったため、外で歩きながら食べずに家に帰ってから食べたせいもあるのかも知れない。でもやっぱり生地の感じはラッキーたい焼きと2回目のたい焼きでは異なる気がする(当たり前のようにラッキーたい焼きと呼んでいる)
これまでのたい焼きのはなし ↓