
図書室のはこぶね
名取佐和子 著 実業之日本社
クラスメイトの図書委員から図書当番の代打を頼まれ、三年間で初めて図書室に足を踏み入れた高校三年生、女バレのエース(だった)百瀬花音。図書委員の俵朔太郎に教えてもらいながら業務を片づけていると、カウンターの隅に一冊の本を見つけた。タイトルは「飛ぶ教室」朔太郎から教えてもらったばかりの蔵書検索をすると、返却済となっていたため、書架へ戻しに行くと、「飛ぶ教室」はすでに1冊並んでいた。だが、蔵書検索では1冊しかないはずだ。なぜ、同じ本が2冊も?
パラパラとカウンターにあった方の本をめくると「方舟はいらない 大きな腕白ども 土ダンをぶっつぶせ!」と、いうメモ書きが挟まっていた。「土ダン」それは、百瀬たちが通う野亜高校が今ちょうど準備中の体育祭で披露する40年以上も続く伝統種目「土曜のダンス」の略称だ。
一体この本は誰が借りていて、いつ誰が図書室に返却に来たのか。そして、なぜ土ダンをぶっつぶす必要があるのか。
どなたのブログかは忘れてしまったけれど、紹介されていて気になって図書館で取り寄せて読み始めた本。内容も気になったけれど「図書室のはこぶね」という言葉の響きがとても気に入ったということもある。
ここにあるはずのない本、そして、意味ありげなメモ書き。本来なら高校最後の体育祭で力を出し切るつもりだったが、それがままならない状態の百瀬花音。
読んでいるうちにとにかく続きが気になって、ぐいぐいと前のめりでページをめくった。この物語はどう着地するのか、高校最後の体育祭までに謎は解けるのか。
読み終わったあとは、サウナから出た時の解放感にも似た気持ち良さ。まさに「ととのうってこういうこと...」と、気持ちのよい爽快な読後感を感じる本だった。