ここのところ、お野菜がどうも高い。
人件費や燃料費などが上がっていることもあるし、毎年上がったり下がったりする気温の中で、安定して大量にお野菜を作るのは本当に大変なことだ。スーパーに並ぶような立派なお野菜をわたしは作ることができないので、買うしかないが、それでも最近は、プチトマトが400円近かったり、白菜も1/4個で198円だったりして、 売り場の前でしばしカゴを手に、うーんと唸る機会が増えてきた。(お野菜以外も全てにおいて値上がりしていることも、唸る原因だけど!)
「そういう時は、千円札だけ握りしめて買い物に行くのよ」と、母は言う。そうすると無駄なものも買わないで済むし、我慢せざるを得ない、と。しかし、こちらは成長期の息子たちを食べさせなければならないのだ。口内炎ができた、にきびが治らない、なんだかお腹が張っている、などと息子たちの体調の変化を耳にすると(もしかして、お野菜が足りてない?!)と、台所に立つわたしは非常に焦ってしまう。
ある日は、息子がポテトサラダを食べたいな、と言ったので、きゅうりを買いに行ったら1本158円だった。ぐ...その値段はわたしが知っているきゅうりの値段ではないぞ、と思ったが、今は冬だ。昔は夏にしか食べられなかったきゅうりが一年中食べられるのだから、それ相応の値段なのだろう。
しかし、やはり手が伸びなかったので、家に買い置きしていたコーンの缶詰めをきゅうりの代わりのアクセントとしてポテトサラダを作った。美味しかったけど、ポテトサラダにはきゅうりが欲しい。
また別の日は、メインを豚のしょうが焼きにしたので、千切りキャベツを添えるためにキャベツを買いに行ったら1/4個で198円だった。この価格は少し前までキャベツ1/2個の価格ではなかったか?そういえば、今の時期のキャベツが高騰している、とテレビで言っていた。わたしは、普段テレビから聞こえることは、東京では~らしい、を指していることがほとんどだと思っているところが大きいので、東京ではキャベツが高いのかな、と、どこか他人事のように思っていたが、どうやらちがったようだ。
ふと、カット済み野菜を見たら、お好み焼きの粉の袋くらいの大きさに千切りキャベツがたっぷり入っていて100円だった。わたしはよく母がサラダにカット野菜を買ってきていたが、自分で料理を作るようになってからはあまり買わずにいたので、こんなに安いとは思わなかった。というわけで、今までのこだわりをかなぐり捨ててカット野菜のキャベツを買って食べた。
実家にいたころに食べていたカット野菜はいつも乾燥していて美味しく感じなかったのだけれど、この日食べた千切りキャベツは、まるでトンカツ屋さんで提供される細くて薄い千切りキャベツのようにみずみずしく、モリモリ食べることができて、とても美味しかった。
でも、と、考える。キャベツをカットして、袋に詰めて、で、どうして1/4のキャベツより安いのだろう。無知なわたしはここがわからない。わからないから、安いという理由だけでカット野菜ばかり買っていたら、キャベツ農家さんが困るのではないかとちょっとハラハラしてしまう。でもカット野菜のキャベツもキャベツ農家さんが作ったものか。じゃあ、なんで安いのだろう。
推しは推せる時に推せ、と、よく聞くが、お野菜を買うこともいわゆる推し、のような気がする。買い控えばかりしていたら、いつか冬にきゅうりが食べられなくなってしまうのかも知れないぞ、と。
よし、今日はきゅうりを買うぞ!と決意したある日、2本で200円だったきゅうりを買って、ポテトサラダのリベンジの代わりにかぼちゃサラダを作った。せっかくなので大きなボウルいっぱいに作ったら、家族に好評で、ほとんど余らずにわたしの次の日のお昼ごはんにちょこっとだけ残る程度だった。マヨネーズで和えてまったりとしたかぼちゃに、ポリポリとしたきゅうりが美味しい。やっぱり、君は必要だよ、きゅうりくん。
最近は旬のお野菜ですら高い。が、仕方がない。時にカゴを片手に唸りつつ、虎視眈々とお値打ち価格のお野菜を狙いながらもうまく献立を考えて、これからもずっと美味しいお野菜が買えるように食べて推していこうと思った。高い高いと呟いていれば安くなるのなら別だけど、そうはならないんだもの。
(と言いつつ、自分ではできない細くて薄いカット野菜の千切りキャベツが美味しくて、それから何度か買っている)
(昔レモンと一緒に右手の小指の一部をすりおろしてしまって以来、怖くてスライサーが使えないのだ)
(そしてその傷跡はまだ残っている)