さて、本日11月29日は何の日かご存知だろうか?
答えは「GUでNETFLIXの海外ドラマ「ストレンジャ―・シングス」とのコラボ商品が発売する日」である。
わたしはこれを数日前に知り、それはそれは楽しみにしていた。と、同時に、ハラハラもしていた。一体何にハラハラしていたかというと、コロナと同時に世に現れた転売人の存在に、だ。
それは2、3年前のこと。わたしの大好きなゲームとのコラボ商品がアベイルから発売されることになった。ちょうどその発売日、別の用事で朝から京都駅に滞在していたわたしは、開店時間の前にアベイルが入っているビルの前に到着したが、なんとすでに人が10人ほど並んでいた。思っていた以上のゲームの人気にびっくりするとともに(わー、ここにいる人、みんな同じゲームのファンなんやー!)と、なんだか嬉しい気持ちでいた。
ところが、共に並んでいた人間の中に、アベイルに到着するや否や、ガサッとラックから商品をカゴに突っ込み何やら携帯を触り、商品をラックに返したり、また別の商品を取るような輩が数名いたのである。奴らは商品をとりあえずカゴに入れるが洋服を体に当てたり鏡で合わせたりしない。自分のための買い物ではないことが明らかだった。
「お、お前ら...」わたしは仲間だと思い込んでいた人間に騙された悔しさと、目の前で繰り広げられる異様な光景に、わなわなと震えながらも、その輩がラックに返却した瞬間にどうにかお目当てのTシャツを手に取り無事に購入することは出来たのだが、不愉快な気持ちでいっぱいだった。そして、その時、少し出遅れていたら買えなかったかもしれない!と、転売人の存在が恐怖にも変わったのだった。
そんな思い出が蘇り、また今回のストレンジャ―・シングスのコラボ商品もそんなことになってしまったら...!と、ハラハラしていたのである。
当日、朝10時から開くモールに10分前には到着しようと思っていたのに、出掛けにバタバタしてしまい、なんと10時5分に到着してしまった。
「うわー急げー!」と、モール内を小走りで駆け抜ける。
(どうか、売り切れていませんように...!どうか、リュックだけは...!!)そう願いながら、GUに到着する。あれ?なんだか、静かすぎない...?きっと売り場には人だかりができているだろうと予想していたのに、店内を歩くもどこにも人がいない。ん?思ってたんとちがうな。店員さんを発見したので売り場をお尋ねすると、メンズコーナーに連れて行ってくれた。ストレンジャ―・シングスのパーカーやリュックなどの美しい商品が並べられたそこは静かで、誰もいなかった。
お客さんも、転売人も、誰もいなかった。
そこには、興奮と小走りで鼻息の荒いわたし一人だった。
(まあ、今日は平日やしな)と、絶対に欲しかったリュックを手に取り抱きしめる。ああ、よかった。無事に買える。リュックだけ買えたらいいと思っていたが、静かな売り場には全ての商品がきれいに揃っている。わたしはストレンジャ―・シングスのTシャツをたくさん持っているので、服はいいかと思っていたけれど、せっかくなので、トレーナーとパーカーを試着することにした。
そして、鏡を見てびっくりした。
そこには、後ろでまとめたはずの髪が横からワサワサと落ちて、乱れた髪の毛のわたしが映っていたのだ。そうだ、モールについた瞬間暑くてかぶっていたニット帽を取った時に焦っていたものだから、髪の毛をきれいに結び直すのをすっかり忘れていた。想像では売り場は地獄絵図のようにお客さんと転売人でごった返していると思っていたのに、こんなに静かにゆっくりと選んで買えるだなんて!いやいや、本来こうあるべきなんだけど。
一人勇み足の自分がちょっと恥ずかしい。GUで前のめり。
でも、リュックは買えたからいいか。