わたしのあたまのなか

わたしのあたまのなかの言葉を書きたい時に書く場所。覚えておきたい出来事やお出かけの記録、おいしいものについてもよく書きます。

本と食

 

元々食に関する本が好きで、食にまつわるエッセイをよく読んでいる。食いしん坊なこともあるが、文から味を想像したり、それを味わうまでの過程を読むのが好きで、わたしにとってはとてもいい気分転換になる。

さて、最近読んだ数冊の本が全て食にまつわる本で、それがとても楽しめたのでここに紹介したいと思う。

まずは図書館のお夜食(原田ひ香著 / ポプラ社)という本を読んだ。

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初めは一章ずつ読もうと思っていたのだけれど、読み始めたら続きが気になってどんどんページをめくり、あっという間に読み切ってしまった。

亡くなった作家の蔵書を保管し展示するというその特別な図書館には、いろいろな思いを抱えた人が訪れたり働いていたりする。蔵書を読むことで、作家の人生や頭の中に近づけたり、憧れの人の手元にあった本を手にすることができるなんて、こんな図書館が本当にあればいいなと思ったが、この本の魅力は図書館だけではなく、併設されたカフェにもある。そのコーヒーが美味しいカフェでは、各作品の中にある食事が再現されていて、本の中に出てくるあの味を楽しめるというのだ。

ああ、ホントにそんな図書館とカフェがあればいいのに!

 

時を同じくして以前から図書館に取り寄せをお願いしていた本がやっと手元に届いた。それはシャーロック・ホームズ家の料理読本(ファニー・クラドック著 / 朝日文庫)

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これは息子(8)が「シャーロック・ホームズの冒険を読みたい」と言った時に、どの出版社の本が息子の年齢には1番読みやすいかとあれこれ調べていたら出てきた本で、シャーロック・ホームズという架空の人物の食や暮らしといったものが、ハドソン夫人というこれまた架空の人物によって語られる様子が、非常におもしろい。また、昔はこのように手と時間をかけて様々な料理が作られていたのだなあと思うと、食材を無駄にしないように丁寧に作る行程や工夫にため息が出るばかりだった。

実は、最近大好きなイギリスのドラマ、ダウントン・アビーのアフタヌーンティーレシピという本も読んだばかりで、ドラマに出てくる貴族のティータイムのために作られた当時の時代のレシピを使って美しく作られた美味しそうなケーキを連日眺めていたこともあり、イギリスの手仕事的な本の世界に浸ることができて、とても幸せな読書時間を過ごすことができた。

最後は図書館に返却に行った時に「今日返却された本」の棚にあった一冊、ハラヘリ読書(宮田ナノ著 / KADOKAWA)だ。

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コミックエッセイで綴られたこの本は、村上春樹さんや森茉莉さんのエッセイなどに出てくるあらゆる食の描写を作者独自の目線でコミックでわかりやすく解説されていて、作中に出てくる本を全て読みたくなってしまう本だった。

コミックの中で作者や作品の背景などを交えながら解説してくれるので、今まで知らなかった本の中に広がる食の世界に興味が湧いてくる。同じ食べ物でも、その人が生きてきた環境によって味や感想が変わるということもわかり、わたしはすでに、この作品の中に出てくる本を何冊か図書館で取り寄せている最中だ。

食べ物が出てくるエッセイは、忘れられない味の一文が楽しめるのが素晴らしい。また実際に食べても食べなくても、本を読んだあとでは自分の頭の中での特別な味にすることができる。

このように最近のわたしは、食欲の秋に、本の世界でも食を楽しんでいるのであった。