少し前までは息子たちと入浴することが多かったが、ここ2、3年は夫と息子たちが一緒に入ることが増えたので、わたしはほぼ毎日1人で入浴できるようになった。
さて、わたしはお風呂がそんなに好きではない。
お風呂に入らなくても頭が痒くならなかったり、体がベトベトしないのならば、多分入っていないと思う。
汗っかきなので、夏は1日に何度もシャワーを浴びることもあるけれど、汗で首がベタベタするのが気になるので浴びるだけで、普段は「あー!早くお風呂いきたーい!」なんて思わない。
寒い冬は熱い湯船に浸かると体の芯から温まり「気持ちいいなあ」と思う時もあるが、そのあとの髪の毛を乾かす作業が面倒なので、毎晩「よしっ」と気合いを入れて風呂場に向かう。
ちなみに夫はお風呂が大好きで、土日などわたしがゆっくり眠っている間に朝風呂をキメていたりする。わたしからすると「朝からお風呂なんか入ったら眠くなってしまうやん!」と思うが、夫曰く外から明るい光が入ってくる朝風呂は最高に気分がいいらしい。
そんなお風呂が面倒で仕方ないわたしだが、入浴中はリラックスしたいので、よくエッセイ本を持ち込んでいる。
難しいことはなんにも考えずに、ただ文を楽しめる本。
と言うわけで、今回はわたしがよくお風呂の中で読む本ベスト5をご紹介したいと思う
1.悶々ホルモン / 佐藤和歌子
もうカバーも外れてどこかに無くし、表紙もおそらく入浴剤がかかったのだろう、色がついてしまっているが、これはもう10年近く洗面所にキープされている本だ。
1人焼肉常連の26歳独身女性ライターが、あちこちの焼肉屋さんで時に1人で、時に仲間と、肉やホルモンを楽しむ本。写真や挿し絵は一切ないのに、文章を読むだけでジュワッと弾けるホルモンの脂の様子が口に広がっていく。一言に「焼肉屋」と言ってもその種類やこだわりやメニューは様々なので、読んでいてとても美味しい一冊。
2.食べる私 / 平松洋子
かろうじてカバーが残っているが、ふやけてボッコボコになっている。多分、お風呂から上がった時にお湯がかかったのだろう。本の中のページにしっかりとシミがあった。これも同じく数年洗面所にキープされていて、本棚に置かれる機会が全くない。改めて思うと本に申し訳ない気持ちになるが、わたしにとってお風呂で読むのに最適な一冊なので仕方がない。
料理人、作家、女優、芸人、登山家…様々な職種の人々が作家の平松洋子さんと対話する形で自分の食にまつわるアレコレを語る本。それが例え全く知らない人でも、食についての思い出や本音を語ることで、近しい人に思える不思議な本。
3.刑務所の中 / 花輪和一
これは、映画を観たのがきっかけで知った原作本だが、本当はコンビニで買った軽くて薄い漫画本を持っていた。が、友人に貸したら返ってこないまま彼女は引越してしまい、数年後古本屋さんでこの文庫版を見つけて買ったという経緯のある本だ。
拳銃不法所持で、獄中生活を送ることになった作者。厳しい監視の元、慣れない集団生活を送る毎日の楽しみは、なんと言っても食事。刑務所という閉ざされた特殊な空間で、繰り広げられる1日3回の食事風景がたっぷりと描かれた漫画。ムショ飯の麦飯がなんだかとっても美味しそうに見えてくる!
4.ゆるい生活 / 群ようこ
書店で購入して、読み終わったら売ろうかななどと思っていたけれど「これはずっと手元に置いておきたい!」と、すぐ洗面所行きになった一冊。まるで薬袋のようなカバーの素材やデザインもとても素晴らしく、気づいたら湯船に浸かりながらぼーっと表紙を眺めていることも多い。
原因不明のめまいに襲われた作者。知人の紹介もあり、漢方薬局に訪れてみると、不調の原因は体内の水?!食べすぎて胃に熱がこもり、水が体の上の方に溜まっていることが原因だという。激痛のリンパマッサージに耐え、漢方薬を飲み、日々口にする食事に意識を持つことで、体が劇的に変わっていく
5.作家の口福おかわり / 朝井リョウ 他
少し前にXで紹介されていた「作家の口福」という本が読みたくて、書店や古本屋さんや図書館でも探してみたが見つからなかった。が、この「作家の口福おかわり」が見つかったので読んでみたら、こちらもとても面白い。特に柚木麻子さんの描く回転寿司の考察がお気に入り!
20人の作家が「食べること」をテーマに書くエッセイ集。忘れられない旅の味、自炊のこだわり、「誰と」食べるかで変わる食事風景。様々な作家の文章を一冊で楽しめて、それぞれにちがう食を味わえる本。
お風呂場で食にまつわる本を読むと、お腹が空いたとしても、絶対に間食できない状況なので、気に入っている。この他にも、旅行エッセイや、コミックエッセイなど、我が家の洗面所の棚には常時10冊以上のわたしのお気に入りの本がストックされているので、機会があればまたご紹介したいと思う。