夫が、知人より「この前のお礼に」とリンツのチョコがたくさん入った詰め合わせの箱をいただいてきたのはクリスマス前のこと。
こんな高級なものをいただいてしまって…と、オロオロしたものの、いつもは一袋に5粒しか入っていない小袋しか買えないので、そのチョコの量にわくわくした。
それはさておき、リンツのチョコの美味しさを存分に知っている私たちは、誰が言い出したでもないが、なんとなくクリスマスを終えてからしかそれを食べてはいけない気がした。部屋のどこからでも見える換気扇の上に置いてみたものの、誰も「食べよう」とは言い出さず、日々は過ぎていった。
クリスマスが過ぎて、次の一大イベントの大晦日までのほんのり忙しい時間が続く、その隙間の休日の家族が揃った日、いよいよリンツ開封の儀が行われることになった。
リンツのキャラクターのクマちゃんチョコや、
青い包み紙のリンツ、赤い包み紙のリンツ、
季節限定のリンツらしい白と水色や、ピンクや茶色などの包み紙のリンツが色とりどりに入っている。
「まずは1人1個ずつな」
と、夫が言った。
「ミルクチョコのやつがいい」
「ホワイトチョコはどれ?」
「クマさんって何味?」
「スニッカーなんちゃらってスニッカーズが入ってんの?」などと言いながら、1個ずつ食べた。
久しぶりに食べたその美味しいチョコは、口の中が溶けるんじゃないか、と思うほど甘くて濃厚で頭の中に「しあわせ」とか「ぜいたく」とか、とにかく素敵な4文字がふわっと浮かんだ。
あまりにもその深い味に目がパキッと覚めたほどだった。
「チョコレートとはこういうものだよ。そうだろ?」
と、改めて思い知らされてる気がした。
もちろん夫の言った1人1粒なんて誰も守るわけもなく、それを言った夫自身も「次はどれ食べようかな」と温かいコーヒーを片手に箱の中を覗き込み、もう一粒、もう一粒と食べていた。
その後もお茶の時間を家族で過ごせる時は紅茶やコーヒーと共に、ちょっとずつみんなで食べることにした。
初めて食べる色の包み紙のリンツは、開けるたびにドキドキしたし、いちいちその美味しさにみんなで目を丸くして「なんだこりゃ」「美味しい!」と、驚いた。
ちなみに、ずっと味が気になっていたクマちゃんのリンツは、家族みんなが好きな赤い包み紙のリンツの味、ミルクチョコの味だった。とても美味しかった。
こういう高級なチョコは、
1人でぜーんぶ独り占めして食べても美味しいけど、家族でちまちま分けて少しずつ食べても結局どちらでも美味しいものだな、と思った。
いただいたリンツのチョコは本当にたくさん入っていたし、家族で大事に少しずつ食べていることもあって、我が家のリンツのチョコは年が明けてもまだあと10数粒もある。換気扇の上に置いてあるこのリンツのチョコの箱が目に入ると「今日の晩ごはんは少なめにして、夜は紅茶を淹れてお茶の時間にしちゃおうかな」などとウキウキしてしまう。
これを食べ終えてしまうのが淋しいが、いただきもので、これだけ美味しくて楽しい素敵なチョコの時間を過ごさせてもらったのだから、ありがたいことだと思う。
それに、この前、京都イオンに久しぶりに行ったら、リンツの量り売りのお店が新しくできていた。毎回は無理だけど、いつか家族で好きなチョコを好きなだけ買いに行けたら嬉しいな、と思っている。